束子フロンティアの生活

ゲームブログ・束子ダイナミック(https://towersea255.hatenablog.com/)のサブブログです。生活と冒険。

退職についての覚え書き⑧ 実録:退職したらどうなるのか?

ずいぶん間が空いてしまったが、退職についての覚え書きシリーズの最終回です。

退職検討中の人の参考にもなるといいかなと思って、現状報告も交えつつ今までの内容をざっくりまとめてみました。項目ごとに該当する内容の記事へのリンクを貼っているので、変則的だが目次としてこの記事から読んでもオッケーな感じです。

辞めたくなったらどうするか

長く同じ会社に勤めていると、色々と思うところは出てくると思う。最近同僚とそりが合わない。やりたい仕事ができていない。仕事が全然評価されない。会社行くのがしんどい。このままずっとこの会社でいいのか?

「しかし退職してどうするの? どうなるの? そんなことして大丈夫なの?」

そう心配になるのはとてもよく分かるので、実際に退職を検討&実行して退職界隈をぶらぶらしている自分が知り得た範囲で、辞めた後の指針となる地図を共有したいというのがこの記事の趣旨です。

乱暴に言うと、不満げに居続けるくらいならちゃんと辞めるべきというのが結論となる。ただ、一時的でも職を失い社会の歯車から離脱するということは沈没*1のリスクを孕んでいるので、そこは上手いことやろうよ、という話である。

 

ちなみに今回のサンプルケースである私の情報だが、

  • エンタメ系の中小企業でクリエイター的な仕事をしていました
  • といいつつ実態は何でも屋であり、制作進行から事務作業まで言われるがままやってました
  • テレワーク復帰失敗勢。ぶっちゃけもう週5で働きたくない

という感じで、あまり一般的ではないのかもしれないことは補足しておく。

あと、入社してすぐ辞めたいみたいなのはまた話変わってきそうなので、今回はあくまでしばらく勤めた上での退職の話になる。

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会社は人生の責任を取ってくれない

何故ちゃんと辞めるべきなのかというと、こういうことです。

辞めてから実質半年くらい経つんですけど、一回離れてみると会社に自分の行く末をなんとなく委ねていたことの怖さみたいなのは感じるようになった。結局のところ自分の人生には自分で責任を取らなくてはいけない。

あくまで今回の場合はだが、結局会社は、労働力としての一人月でしかない一社員のキャリアがどうなろうが基本は知ったこっちゃなく、業務がつつがなく進むのであれば職業倫理なども割とどうでもよく、自分ではよくやってるつもりでもまあまあ空回りしていたんだと思う。

だからまあ、利害が一致しているうちが華というか。かみ合わなくなってまで無理して居続けるのはお互いのためにならないですね。会社も個人も変化する以上、退職というのはそんなにネガティブなことでもなくて、だから送別会というイベントが存在しているんだと思います。

あと重要な点として、辞めるのには結構エネルギーがいるので、特に体力・精神面で消耗を感じている場合は手遅れ*2になる前に早めに動けということになる。手遅れになっても会社は責任取ってくれないので。

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空白期間をどう考えるか

辞めると決めたなら最初に選択しなければならないこと。それが、次の仕事を決めてから辞めるか、決めないで辞めるか?

転職市場におけるセオリーとしては「空白期間は無いに越したことはない」らしい。在職中に次の内定取って即転職、というのは真っ先に想像しやすいルートで、エージェントに接触すると尚更そう錯覚しがちだが、いや待て、他にもあるということを知ってほしくてこの記事を書いている。

自分は「失業保険を貰いながらゆっくり考えたい」と思ったのでノープランで辞めてしまった。失業保険という制度がある以上、そんなにおかしなことではないと思う。忙しい中で就職先をバタバタ決めてしまうのも、それはそれでリスクではあるし。

ただし、常に時計は動き続けることには注意したい。失業保険の給付日数のリミットはあるし、空白期間が長くなると再就職しにくくなり、更に空白期間が長くなって更に再就職しにくくなる……という悪循環に陥るリスクは確かにある。

そんなのは転職エージェントがさっさと就職させたくて言う脅し文句だ、数ヶ月や数年の空白ごときでガタガタ言うのは日本の悪しき風習だ、というご意見もあるだろうが、現場を離れると日に日に業務遂行感覚が鈍っていくのは実際感じますね……!

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他の留意点として、空白期間がある場合は健康保険と国民年金は手続きして自分で払わなければいけない。そこは普通に面倒だし高い。年金は結局一年分前納したけど、ちょっとしたクルーズくらい行けそうな金額だった。クソッ。

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無職は一日一回しか行動できない

無職になることの最大のメリットは、失業保険よりも自由な時間だと思う。およそこの世で人間らしく生きられているのは無職と大学生だけだ。無職になったら節約できるなんてのは大きな間違いで、時間にも体力にも余裕があるので楽しいことにどんどんお金を使える。この世界は矛盾している。

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ただ時間があるとは言っても、物理的に体を動かさないと身体も頭も働かなくなって、できることが減っていってしまうので、意外と何もできなかったというのもよくある話。

退職に際して先輩から餞別に「無職は一日一回しか行動できない」という金言をもらったが、これはマジ。定年退職してボケる現象は若くても起きかねないし、引きこもりなどになって一度脱落すると社会復帰が難しいのも身体的な要因が大きいような気がする。

だからのんびりしながらも給付日数と貯金額を見比べて、無職の間に何をして、いつ頃には働き始めるかな~というスケジュール感はある程度意識しておくのがいいのではないかと。

失業保険とハローワーク

めでたく無職の求職者になれば失業保険が貰える。正式名称は雇用保険の基本手当。またの名を不労所得。これを貰うためにはハローワークに行くことになる(後述するが、辞める前にも一度顔を出しておくのを推奨する)。

最低限の手続きだけして帰ってもいいのだが、ハロワは結構面白い場所だ。働くことの固定観念に新しい風を吹き込んでくれる。例えば「大型免許を持っていれば、バスの運転手ができますね」とそういうシンプルな世界がそこにある。成果がどうとか評価がどうとかキャリアプランがどうとか。そんなものを大勢でこねくり回してる暇があったらバスを1kmでも走らせてきたほうが生産的なんじゃないか、そんなことを考えずにはいられない。

職業相談窓口の人はたぶん成果制じゃないので、良くも悪くも無責任に思ったことを言ってくれる。私はこんなことを言われた。

あなたは忙しくない仕事がいいと言うけど、やりたい仕事は忙しい仕事なんだね

本当にその通りだ。

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ちなみに……再就職しない、もしくは独立するつもりでも「就職も検討中です☆」というポーズを取って失業保険を貰うことが一応可能。心の中は審査できないので、迷ってるなら求職者扱いになる。ただし給付中は開業届を出せなくなるほか、勤務日の報告が必要だったり、収入額によって給付が減額になったりと諸々の制限がかかるので、思うように活動できなくて機会を逃すくらいならすっぱり諦めた方がいい場合もあると思う。

職業訓練という選択肢

ゆっくり考えた結果、私は長期の職業訓練を受けることにした。

訓練期間中に失業手当の受給を受け続ける条件として「開講日に受給中であり、受給日を一定の割合残している」ことがある。今回は本当に偶然タイミングが合っただけで、ずれていたら選択肢に入ってこなかったと思う。

職業訓練に興味がある場合は退職前に一度ハローワーク職業訓練窓口に行って、今後の開講のスケジュールを確認してもらうのがいい。そこに合わせて退職日を決められるからだ。

訓練校に通い始めて二ヶ月ほど経つが、同級生の多くが就業経験者。経歴も様々で知見の広がる環境です。で、全員でテスト勉強に追われている。大人の高校みたいで楽しいですよ。

訓練先にもよるが、入校した時点で就職先がある程度絞られてくる場合もあるので、そこはよく考えたほうがいいけど。

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雇用されるか、独立するか

無職や職業訓練を楽しんでも、最終的には働かなくては生活できない。ではどんな風に働くか。どこかの企業・団体に雇用されるか、それとも独立して個人事業主として動くかの主に二択になると思います。

「今まで会社勤めしていたけど、実は独立できるスキルがある」という方、おめでとう。誰もが夢見るフリーランス生活、個人事業主という選択肢がある。

……あるのだが、これにはスキルがあるだけでは不十分で、それをどう金にするかを考えていく必要がある。自分のスキルを誰にどんな形で売るか、と言い換えてもいい。実力はもちろんのこと、需要を見極めて合わせていく商売センスも要求される。運良く素敵な金づるクライアントが見つかればよいが、「仕事がある」と「食っていける」の間の壁は結構高い

自分も業務委託の仕事を試してみて、今もちょこちょこ続けている。それなりに実績は積めてきたものの、単価が低くて発注が安定しないので、生活できるというには程遠いですね。半分趣味と腕試しのためにやってるって感じだろうか。コツコツ続けていけば将来的には専業フリーランスの道も開ける……かも?くらいの温度感。

二択ではなく両方を一定の配分でやる、つまりダブルワークができないかというのも検討してはいる。これについてはもし成功したらまた何か書くかも。

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退職してよかった?

自分ははっきり、辞めてすごく良かったと思っている

退職するのは色々大変だし、気が引けるし、リスクもあるのは事実。でもやっぱり、自分の人生を自分でハンドリングしている感覚ってのは何物にも代えがたいものがある。「ボールが自分のところに戻ってきた」という感覚が近いかもしれない。またどこかにパスを回してもいいし、そのままゴールに叩き込んでもいいが、ボールがずーっと全く回ってこないようだとつまらないじゃないですか。

こんな仕事もあるんだ、こんな生活もできるのかなと、自分の可能性を色々想像して、想像するだけでなく実際に動いてみることには純粋に楽しさもある。

様々に事情はあるだろうけど、「選び直す」ことへの抵抗がもっと少ない世の中になったらいいのにね、と思います。

*1:バックパッカーが旅の途中なのに一カ所にだらだら居着いちゃうことをこう言うらしい

*2:本当にまずい時にはたぶん休職という選択肢があるんだが、個人的には復帰するかしないかの選択を迫られながら休むのなんて考えるだけでおぞましいので嫌でした