束子フロンティアです。先月1月に、3泊4日でシンガポールに行ってきました。
31歳、これが初海外。国内旅行はしてきた方だと思うけど、海外に行ってみたいと思い始めたのは割と最近で、2021年頃だったと思います。
きっかけの一つは、Netflixの海外グルメ番組やドキュメンタリーをよく見るようになったこと。皮肉屋のユダヤ人フィルが世界各国を旅する「腹ぺこフィルのグルメ旅」は、シズル感たっぷりの料理だけでなく、その土地の人や文化にもフォーカスしていく傑作ドキュメント。
また、この頃はコロナ禍で海外旅行に行きにくくなっていて、海外への渇望の声もよく聞こえてきました。愛聴している「超旅ラジオ」もそんな状況下から始まったもので、「日常から旅を生み出す」とある通り、遠くイランやウズベキスタンの話から、多摩川に静岡、架空の国家や詐欺やAIの話まで、旅の概念が拡張されるぶっとびトークラジオ。
要するに、多様な文化の存在を知って、想像を超えた物事をも楽しんでいる人たちの姿を見て、羨ましくなってしまったんだと思う。最初は海外で生活がしたい→短期留学だ!と思ったんだけども、母親から「まずは旅行に行ってみないか」と、近場のアジア地域で治安も良く、イギリス植民地時代の西洋の雰囲気を感じられるシンガポールを提案されたのだった。
実はこの母親、昔海外に住んでたことがあり、あんたほどの奴が言うなら……ということで、まずは2人でのシンガポール行きとなった。ただしブランクが長いので、最近の電子入国手続きとかは何も分からんとのこと。どのくらい頼りになるのかは未知数だ。
前置きが長くなったが、以下がそのシンガポール旅行4日間のレポート(その①)です。
- 0日目 17時:20世紀の遺構 東成田駅
- 1日目 6時:搭乗ゲートまで3時間
- 1日目 9時半:空飛ぶ体調不良者
- 1日目 16時半:シンガポールで飲むコピは甘い
- 1日目 18時半:4分後到着のMRTで 私は旅立ちます
- 1日目 19時半:とんでもない部屋に滞在することになった
- 1日目 21時:夜のマーライオンパーク
0日目 17時:20世紀の遺構 東成田駅
広大な敷地を持つ成田空港の最寄り駅は一つではない。まずは第1ターミナル直結の「成田空港」駅。第2ターミナル直結で第3ターミナルにも近い「空港第2ビル」駅。そしてこの二つの駅の中間あたりに位置する、京成東成田線の「東成田」駅だ。
第2ターミナルまで連絡通路で徒歩7分ほどで、料金体系の関係で一番安く到着できるという情報を小耳に挟み、色々なルートを検索するのも面倒だったので、ここから旅を始めてみることに。
え?
何この……何?
日本の空の玄関口・成田空港へ続いているとは到底思えない、うらぶれた雰囲気に不安とワクワクが高まってきました!
全長500メートルの一本道。8番出口よりホラーだ。空港側の出口付近には、数十メートルに渡って異様な数の通行止めポールが集まっていたりして大変エキサイティングです。何に使うの、あれ。
東成田駅は「旧成田空港駅」であり、前述の二駅の開通に伴って、現在の駅名に改称。今では半ば役目を終えていて利用者もほとんどいない駅らしい。
空港第2ビル駅に到着した瞬間、急にピカピカの構内が現れるので、タヌキに化かされたようでした。ギャップがすごい。
早速、第2ターミナルにある両替所「GPA」へ行き、現地通貨シンガポールドルを獲得(以下、現地表記に倣ってシンガポールドル=$と表記)。このあと現地で買ったものの金額も書いていくので参考までに、この日のレートは1$=121円でした。現地でのカード決済分は、今明細を確認したら手数料込み1$=118円前後で換算されていたので、空港レートはやっぱり高めな模様。
巡回バスで第1ターミナルまで移動。今回利用する航空会社は、世界最高と名高いシンガポール航空……ではなく、その系列のLCC「スクート(Scoot)」です。何故なら安いから。航空機とホテルは、HISのツアーで予約してます。
スクートの荷物預かりカウンターに行列ができているのを下見したあと、不二家レストランで夕食を取る(HIS特典で15%OFFになった)。滑走路ビューらしいのだが、もう暗いのでよく見えない。
ところで0日目となっているのは、お察しの通り前泊をするためです。まさか午前9時発の飛行機に始発で間に合わないなんて思わなかった。遥かなる地、千葉。
本日の宿は「東横INN 成田空港新館」。第1ターミナルからホテルの送迎バスで10分かからないくらいで到着。ツインルームは狭いけど、ロビーで各種アメニティやしょっぱい昆布茶が配布されていて不便なく過ごせる。
大浴場はない。ユニットバスの換気が微妙で、年季の入った水回り特有の湿気と消毒薬の匂いがこもっていたのは気になったが、きれいに清掃されていたのでOK。レインシャワー初体験でちょっとリッチな気分を味わう。
1日目 6時:搭乗ゲートまで3時間
東横インは朝食無料のホテルなのだが、提供開始は6時半から。残念だがゆっくり食べているとフライトに間に合うか怪しくなってくる。しかしここでは早朝出発者のため、6時から新館ロビーでパンとコーヒーの提供がある。
立地が立地なので、頑張って5時くらいから朝食提供してくれると前泊者向けの売りになりそうだけど、コスト的にこれで精一杯な感じなのかなあ。
コーヒーと言いつつ、ドリンクバーでジュースや紅茶の提供もあり。パンの種類はクロワッサンと、具入りのデニッシュ類、トーストもあったかな?
ありがたく腹に収めて、6時10分発の送迎バスで再び成田空港第1ターミナルへ。
スクートのキオスクで、航空券と荷物タグの発券手続き。度々フリーズしたりしながらも(タッチパネル黎明期の科学館の券売機のようなレスポンスだった)、なんとか発券完了するも、預け荷物のチェックイン列はやはりかなり行列していて、預け入れまで40分くらいかかったかな……この旅で一番並んだの、たぶんここでした。
ちなみにスクートにはオンラインチェックインが存在するが、ツアーでの購入だとおそらく使えないようです(事前にスクートのHPでログインを試したら「その予約番号は団体予約だから申込先を通してくれや」的なメッセージが出た)。
一息つく間もなく、手荷物検査やら入国審査を抜け、セブンイレブンでジャスミン茶とチョコレートを確保。やたらと遠くにある搭乗ゲートまで歩いたころにはとっくに8時を回っていて……
ようやくスクートの黄色い機体の姿が見えた。飛行機、大変だ。
1日目 9時半:空飛ぶ体調不良者
飛行機は9時半頃に離陸。意気揚々とエコノミークラスの座席に収まっていた私だが、数時間もすると倦怠感と頭痛で相当ぐったりしていた。飛行機なら国内線で何度か乗ったことがあるのだが、7時間のフライトを舐めていたと言わざるを得ない。気圧変動対応耳栓だけはバッチリ用意していたのだが……酔い止めも持ってくるべきだった。
個人的には深夜高速バスと似たり寄ったりの辛さでしたよ。フルサービスキャリアやビジネスクラスを使って、フライトをなるべく快適に過ごしたい気持ちがよく分かった。いやスクートも悪くはないんだよ。モニタもないから座席の作りも深夜バスっぽいけど。
カップヌードル チキン味($6)は日本では見たことない気がしますね。スープはシーフードヌードルと同じ塩味っぽいけど、よりさっぱりしていて食べやすいです。
早く着かないかなと7回くらい思ったところで、眼下にコンテナ船の群れとシンガポールの街並みが見えてきました。
※動画編集ソフトで遊ぶのが楽しくなってしまい、良い感じのBGMが付きました
ちなみに離陸時は大丈夫だったんですが、着陸時にはしっかり耳痛くなっていました。それでも耳栓効果はあったと思いたい。
1日目 16時半:シンガポールで飲むコピは甘い
既にけっこう消耗した状態で着陸し、ふらふらと飛行機を降りる。チャンギ国際空港に到着です。シンガポールと日本の時差は1時間。現地回線に繋がったら、スマホとスマートバンドの時間が1時間巻き戻りました。おお。
預けていた荷物をロストせず無事に回収し、ターミナル1の到着ホールを出ると、目の前にはもう空港併設のショッピングモール「ジュエル」がある。そしてこれが「地球の歩き方」の表紙にもなっている例の滝だ!
現物はさすがに、このスペースコロニーかよみたいな絵ほどのスケール感ではないんですけど、こうして写真を見ても天井の美しい曲線といい、植物の配置と密度といい、ああ……地球を離れてここで一生を終える覚悟なんだなと思わせるほどの迫力はある。ショッピングモールの装飾としては規格外。水の量どうなってるんだ。
滝を眺めたら、まずはL4階(ここでは地下階にBを付けるように、地上階にLを付けるらしい)の「ポケモンセンターシンガポール」を来訪。
チャンギ空港限定コスチュームのピカチュウ(各$18)をゲットだぜ。
B2階のフードコート「Food Republic」で、食べてみたかったシンガポールの定番朝食、カヤトーストセット($5.8)を早速注文。コーヒーだけ先に出てきたので、ドトールよろしく提供口で待ってたら「5分後にまた来い」と強めに言われる。呼び出しベルとか無いん? そして……
初海外飯!
この三点セットが定番とのことで、右上のコピ(Kopi)はカフェモカっぽい味の甘いコーヒー。卵は見たまんま温泉卵で、醤油と胡椒をかけていただくので完全に馴染み深い味。肝心のカヤトースト(Kaya Toast)は、ラスク並みの薄切りトーストの間に、バターとカヤジャムを挟んだもの。カヤジャム=ココナッツと卵のジャムだそうで、絶対にどこかで食べたことがある懐かしい味なんだが、どうしても思い出せませんでした(ググったら「萩の月に似てる」と言っている人がいたが、果たして……)。温玉につけても甘じょっぱくて美味しい。
1日目 18時半:4分後到着のMRTで 私は旅立ちます
そうこうしているうちに18時を過ぎており、そろそろホテルに向かわねばなりません。空港ターミナル間を走る「スカイトレイン」で、駅に繋がったターミナルまで移動する。
屋内をずっと歩いていって、自動ドアからシームレスで車内に乗り込めるのでびっくり。未来を感じる。未来とはインフラだ。
地下鉄(MRT)改札前のキオスクで「シンガポールツーリストパス」を購入。$29で3日間、MRTと路線バスに乗り放題となる、旅行者向けSuicaのような交通系ICカード。
シンガポールは公共交通料金が安く、一回の乗車で$1~2程度だそうなので元を取れるかは微妙なのだが、各種入場料の割引も受けられるらしく、残高調整や払い戻しの手間を考えて今回はこちらで。ガイドブック等には「デポジット込み料金で返却が必要」と書いてあるのだが、最近デポジット無しの料金設定に変わり、使いやすくなったようです。
シンガポールの公共交通ですが、時刻表は存在せず、「何分後に到着」するかだけが分かる仕組みとなっていた。電車なら案内板に表示されているし、バスはGoogleマップで到着予定が分かる。それだけ。目から鱗というか、効率的ですよね。いずれも結構な間隔でじゃんじゃん走っているから成立するのではあるが。
1日目 19時半:とんでもない部屋に滞在することになった
乗車時間30分ほどで、シティホール駅へ到着。今回滞在する宿「The Capitol Kempinski Hotel Singapore」は、この駅と直結という超好立地にある。
見て分かる通り、クラシックな低層で割とこじんまりとしたホテル。日本の高級ホテルのような堅苦しさがなく、カジュアルで朗らかな雰囲気が心地いい。
パスポートで本人確認したあと、何事かを早口で話し始めるスタッフ。言葉は半分くらいしか分からないが雰囲気で分かる。これは部屋をアップグレードしてくれるって話だな……!「ツインじゃなくてキングベッド1つになるけどいい?」キングベッドなんて寝たことないから分かんないよ。狭かったらやだけど、ちょっと良い部屋になるんなら、まぁ良いんじゃないでしょうか。
さて、一体どんな部屋が……
ん??
ちょっと良いどころではない部屋に、喜ぶより前にドン引きする我々。スイートルームだそうです。ハネムーンの部屋じゃない? これは。だって部屋の中にバスタブがある。
胡蝶蘭(?)が置いてあって、テレビが寝室とダイニングとバスタブ前の3つあって……レインシャワーの高度、東横インの1.5倍はありそう! 怖い怖い!!



ただでさえツアーでちょっと安い値段で予約できてるのに、とんでもない部屋をあてがわれてしまった……。キングベッドは、なんなら自宅のシングルベッドより専有面積広くて超快適でした。将来の夢はキングベッドにします。
1日目 21時:夜のマーライオンパーク
早速この風呂を浴びて寝るか……と言いたいところですが、1日目はまだ終わらない。その気になれば、ここから更に観光できるのがシンガポールの良い所なんですよ。実際に、観光客も地元住民もまだその辺をワラワラと歩いている。
シンガポールのベイエリアには、マリーナベイサンズという超高級ホテルを中心とした施設群があり、目の前の湾で「スペクトラ(Spectra)」という水と光のショーを毎晩無料で上演して名物になっているそう。このスペクトラを、今日のところは対岸のマーライオンパーク側から見るのが目標です。
予定では19時くらいに出るつもりだったんですが、(案の定)押しまくってて最終の21時回がもう始まっちゃう!ということで、急いで徒歩で向かいます。何故ならバスの乗り方がよく分からないから。
ホテルからの道筋は単純……と思いきや、マーライオンの横を通る太い道が見えますでしょうか、この横断歩道が見つからない。Googleマップの導きに従い地下通路を降りていくと、音楽をガンガンにかけてダンスの練習をしている横で、10人くらいの若者がミニ四駆(っぽいの)をコースでビュンビュン走らせていて、これ不良の溜まり場になってる危ないやつ? それとも健全なミニ四駆のイベント?とかなり謎でした。なんで地下通路にミニ四駆のコースがあるんだよ。
ビビりつつ地上に出ると、すぐに目の前にマリーナベイが見えてくる。「三つのビルの上に船を乗せた」形の面白建築、あれがマリーナベイサンズ! ショーも始まってる!
こちら側からだと噴水も音も小さいが、ライトアップがよく見える。水と光のショーというから優美なものを想像していたけど、なんか最後の方、悪の組織のオリエンテーションみたいだったな……銀河要塞マリーナベイサンズ。シンガポーリアンのセンスがだんだん分かってきた気がする。
スペクトラを眺めながら歩いているうちに、ぬるっとマーライオンパークに到着していました。振り返ればそこにはマーライオンが。
彼もなかなかのサイズだけど、それにしても背後のビル群が凄い。シェントン・ウェイという金融街だそうです。事前に複数のソースから「マーライオンが水を吐いていなかった」話を聞いていたので心配していたのだが
元気そうで何よりでした。
そのまま近くのホーカーズ、「Makansutra Gluttons Bay」へ。マカンストラって有名なグルメガイドの発行元でもあるらしいですね。マリーナベイに面したホーカーズで、ここでは食事をしながらスペクトラが見れるそう。
夜食にフォーの海鮮焼きそば(今調べたら「チャークイティオ(炒粿条/Char kway teow)」って料理だと思う)をいただく。モチモチ甘辛で美味いんですが、奥にあるチリフレークが激辛で水を探しにさまよいました。
帰り道ではバス乗車チャレンジに成功。現地から更新した記事にも書いたけど、これが爆速かつ降車案内がないという驚きの仕様でびっくり。この後もシンガポールのスピード感には驚かされることになります。そんな2日目以降のレポートは次の記事で……。
★2025/2/19 追記 続きです!