ー前回のあらすじー
辞めるのは大変だけど、終わりが決まるってのは気分が良いもんだ。
会社員というのは基本的に全員*1「雇用保険」に加入しており、保険料として毎月給料の0.006%(一般の事業/令和6年度)を支払っている。まあ千円~数千円。健康保険や年金に比べれば安いもんですわね。
雇用保険の加入者が失業した暁には、「雇用保険の基本手当」――いわゆる「失業保険」が貰える場合がある。
以下、主だったところだけつまんでいるので、繰り返しになるが、今まさに貰おうとしてるって人は各自調べてくださいね。
受給条件
- 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。
- ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
1年は働かないと貰えないというのはまぁ分かるとして、ふたつめでは「意思」が問われている。ちょっと意外なのが、病気などですぐに働けない場合もNGとなる。あくまで求職活動中の生活費としての給付ということなんですかね(傷病手当という制度があるので、実質同額が給付されるということなのかもしれないが)。
支給額
今まで貰っていた給与額(保険料などを引く前)の、45~80%にあたる額が支給される。この%(給付率)は給与が低かったほど高くなる。最低保証が2,295円/日で、上限額は年齢によるけど7,065円~8,635円/日。
参考として、大体このくらいの金額になるとのこと。
- 月額15 万円程度の場合→支給額は月額11 万円程度
- 月額20 万円程度の場合→支給額は月額13.5 万円程度
- 月額30 万円程度の場合→支給額は月額16.5 万円程度
Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~について紹介しています。|厚生労働省 (Q10)
肝心の給付率の正確な計算式については、PDFしか見つからず。→雇用保険の基本手当日額が変更になります(PDF)
まず過去6か月間の賃金を日割りにする(賃金日額)。これに給付率を掛けたものが一日あたりの支給額(基本手当日額)となる。
80%と50%のパターンは表を見れば分かるので掛けるだけだが、大体の人は真ん中の賃金日額が「5,200円以上12,790円以下」に収まってるんじゃないだろうか。そのレンジの計算式がこれ。
y=0.8w-0.3{(w-5,200)/7,590}w
※y=基本手当日額 w=賃金日額
急にyとw出てきてびっくりだよ。もっと分かりやすく書けるだろ。
基本手当日額=0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,200)÷7,590}×賃金日額
こうだよね? 給付率80%の金額から下振れ分を減算してるのは分かる。5,200がこのレンジの最低金額だから、そこから増えたぶんだけ減算分も増える。その先はさっぱりです。理系の名折れだ。
まあともかくこれを計算すると、このレンジの基本手当日額は4,160円/日~6,395円/日となるようです。
給付日数
ハローワークインターネットサービス - 基本手当の所定給付日数
給付日数は、離職理由と加入期間に応じて変わる。
自己都合退職だと、10年未満なら90日、10年以上20年未満で120日、20年以上が150日となる(2024年12月現在)。
会社都合の場合には年齢も関係してきて、20年間働いた45歳以上60歳未満が急にリストラされたなら、なんと330日。す、凄い。
給付制限期間
ただしこれ、自己都合退職だとすぐに給付開始されないんですね。共通の7日間の待機期間に加えて、2か月間の給付制限期間がある(2024年12月現在)。これ何の意味があるんだ? 2か月分のニートが増えるだけでは?
ということでこの制限期間は徐々に減っており、2020年に3か月から2か月に改正され、2025年の4月からはなんと1か月に減るらしいです。
再就職手当
ここまでで「じゃあ就職活動を引き延ばして満額貰った方が得じゃん?」と思うのだが、向こうもそこは重々分かっているようで、再就職手当というものがある。
支給日をまとまった数残して就職したときに、貰えるはずだった手当の一部をまとめて回収できる、という制度である。3分の2以上残っていれば残り分の7割。3分の1以上なら6割。
就職したら給料も貰えるし、早く就職した方が総じて得ですよ、という体裁になっている。今の居住地から遠い会社に就職した場合は、引っ越し代まで出ることがあるらしい。
まあ、全額回収はできないので、額面でいえばやっぱり引き延ばした方が得なんですけどね。自由な時間も貴重だし。めちゃくちゃ理想的な求人を見つけたとかいう場合はその限りではないと思いますが。
職業訓練
厳密に決められている給付日数と給付制限期間だが、実は抜け道がある。職業訓練を受けると、入学と同時に給付制限期間が解除され、即時給付が開始されます。しかも訓練が終わるまで給付日数が延長される。更に受講日には受講手当として一日500円がプラスされる。授業料は基本無料*2。ボーナスステージ?
そんなに甘い物ではなさそうだ。職業訓練というのは週何回の習い事レベルではなく、平日毎日を3か月から2年間のコースであり、さらに分野も限られてくるので、給付金目当てでやるにはヘヴィだ。本当にやりたかったり必要なものがある、もしくは本当に手持ちのスキルが何もない場合にって感じですかね。
また、入校のタイミングは決まっているので「じゃあ明日から」ってものでもないようだ(1月度の申込は11月には終わっていた)。後ろに引き延ばす場合でも、入校時に給付日数がある程度(3分の1くらい)残っていないといけないという条件もある。タイミング次第か。年単位のコースを狙うなら、退職時期も逆算して決めるくらいしないとダメなのかも。
教育訓練給付
職業訓練に受けたい科目がないんだけど?という人向けにも、指定された民間の講座の受講費用の20%~80%を補助する制度がある。
条件を満たせば基本手当支給終了後の受講中、基本手当の80%の給付金が貰える制度もある模様。→Q&A~専門実践教育訓練給付金~|厚生労働省 (Q23)
番外編:求職者支援制度
雇用保険との同時受給は無理だが、月10万円貰いながら職業訓練に通えるという制度もあるらしい。こちらは雇用保険の加入者でなくても対象、つまりフリーランスから就職を目指す場合とかにも利用できるみたいです。雇用保険の受給終了後もOK。
ただし収入額と貯金額に制限があったりと、10万円給付の条件は割と厳しめ。そりゃそうか。給付なしで、職業訓練だけ無料で受けるということもできるようです。
で、ここからが本題で、自分が本当にこれ貰えるのかなんだけど、もうめちゃくちゃ長くなってるので次回に続く。